どうも、占う作曲家こと、プロ・スピリチュアルコンポーザー。
プロスピです。
作編曲の技術、機材環境が向上すると、楽曲の質が上がって、結果としてトラックも増えていく傾向がありますね。
音源を工夫して活用するほど、トラック数は増えていく。
というわけで、永野 光浩さん著『DTMトラック制作術』のレビューです。
目次
『楽曲の情報量』と『トラック数』は比例関係

私はプロを目指している人のデモ曲を聴かせもらうことが多いが、”まだまだ音が貧弱だなあ”と思う事が少なくない。
そしてそういう作品はある共通点がある。それは、使っているトラック数が少ないということだ。
もちろんトラック数の多さ、そのものが良いサウンドを生むわけではないが、良いサウンドを出そうとあれこれやっていくと、自然とトラック数が増えていくのだ。
トラック数が多いということは、それだけ『アイデア』『工夫』の量が多いということで、当然楽曲の情報量は増えます。
『トラック数』≒『 楽曲の情報量』
従って、質の良い楽曲を定義するならば
『楽曲の情報量』 X 『情報のバランスの質』
になるのかなと考えてます。
奏法ごとにトラックを分ける
ドラムトラックを増やす
ドラム音源を立ち上げると、1トラックに全ての音が入っていて、鍵盤の位置で音色がアサインされてるケースが多いですよね。
通常、ドラム音源には『パラアウト』という『スネア』、『バスドラ』、『ハイハット』などの各音色を別トラックに振り分ける機能があります。
これを活用すると、それぞれの音色に異なるエフェクト処理が可能になって、より質の高いサウンドを実現できるわけです。
リズムの空きを埋めるおもしろい方法も紹介されてました。
何でもかまわず足せばいいというわけではなく、必要な音を必要な場所に的確に入れなければならない。それには”部屋”でイメージすると分かりやすい。

紹介されてたグラフを再現してみました。
・横軸 = 拍 と PAN
・縦軸 = 周波数
グラフの区分けはこのようになっていて、部屋に見立てて紹介されてます。
ドラムパターンが打ち込んであって、赤枠内がリズムの空きです。
このスペースにはドラムの音を入れても良いし、パーカッション、低音ならベースのために余裕を持たせるのもアリです。
こうやって視覚化すると、客観的に状況が把握出来て次の一手を見つけやすいです。
ギタートラックを増やす
1つはコード用の音源を演奏するトラックで、もう1つは単音用の音源を演奏するトラックになっている。
その2つのトラックを同時に再生すると、一つのギターパートに聞こえるというわけだ。
例えば、ギターを3本でアレンジする場合、各々に『コード用』と『単音用』で計6トラック使用するということです。

ベーストラックを増やす
1つ目が、音色作りとしてトラックを重ねる方法。
少し調整してみたものの、実際にドラムと合わせて聞いてみると、何かイメージに合わない。浮いているように聞こえる。
そういう場合は特に、音色作りの延長としてトラックを重ねることはよく用いられる手法だ。
例えば、基本の音色がアタックが強くパンチがあるけれど、リリースがイメージに合わない場合。
アタックは主張せず、リリースが理想的なトラックを重ねれば理想のサウンドになります。
分かりやすくドラムのキックの音で見てみます。

2つ目が、サブベースで厚みを出す方法。
サブベースの追加は低音を補強するための手法だ。
曲には必ずサブベースが必要というわけではないが、サブベースを入れると厚みが出るので、そういったサウンドが似合う曲には有効な手法となる。
また、サブベースの音色は、基本的にはサイン波に近い音が使われる。
サイン波には倍音(自然発生する高い音)が含まれていないので
低音のみ補強するには有効です。

倍音についてはこちらの記事を参考にどうぞ。
メロディートラックを増やす
世の中には実に様々なタイプのメロディがある。そこで私が考えるのは、”どんなメロディでも情報量は同じぐらい必要である”ということだ。
一番分かりやすい例は”歌”だろう。歌には歌詞もあり、抑揚もあり、息づかいもあり、様々な情報に溢れている。
だから歌モノのメロディーはそれだけで既に多くの情報を抱えている事になるから、”足りない”ことにはならない。
情報量が一定に達していないメロディは、聞く人簡単に、それこそ1小節で飽きさせてしまう、
は解決策として2種類。
1つ目が、『音色を重ねる』手法。
ベースの『各々の音色の弱点を補う』というイメージと同じですね。
2つ目が、『ハモリを利用する』手法
つまり、プロのサウンドを出すためには、ハモリのフレーズを積極的に入れると良い。
またそのとき、ハモリが入っているのか分からないような小さな音でミックスされていることもが多いが、それこそがプロの仕事なのだ。
歌モノ以外も積極的にハモっていきましょう。
両方の手法を積極的に使った曲がこちら。
建ったサウンドを維持する

「とりあえず最初はこの音にしておいて、あとでじっくり考える」という人がいるが、それだとずっと”とりあえずの音”を聞きながら制作ことになり、いつの間にか気持ちも乗らなくなるものだ。
また、とりあえずの音の上に、重ねたベースやギターなど他の音も、やはりとりあえずでしかなく、いつまで経っても曲は完成しなくなる。
このとき、最初から最後まで全部入力する必要は無い。
例えばAメロだけとかイントロだけとか、あるいは冒頭の4小節だけでOKだ。
そしてこの部分だけは基本的に完成時とほぼ同じぐらいに仕上げてしまう。
曲のある部分のサウンドが完成したらそれに続く部分は、既に完成したサウンドと同じクォリティを保つように制作すれば良いのだ。
曲のなかで一度サウンドが構築出来たら、曲のほかの部分はそれを基準に構築していけばいいのだ。
自分が、何となく感じていた事を言語化してくれてました。
曲のある部分が納得の行くクオリティになっていると、基準があるので作業も進め易いことに加えてモチベーションも上がってきます。
その基準となるサウンドの定義に関して
演奏を聞きながらバッキングを足していくのだが、ある音色を足した時、「あっ、これでOK、サウンドが建った!」という瞬間が来る。
あるいは、「あっ、今の音色、足したら急にサウンドの見通しが悪くなった!」と思う瞬間がやってくる。
それが”バッキングはいったいどれくらい入れればいいのか”という問いの答えだ。
装飾のためにトラックを増やす
構築したサウンドを維持するための装飾
『建ったサウンド』を構築して制作を進めていくと、楽器数が減るセクションも必要になります。
しかし、突然、鳴ってる楽器が減れば、充実してたサウンドのバランスが崩れしまう。
それを解決する方法として
・トラックを重ね、音色の情報量を増やす
・トラックを増やし、新たなフレーズを入れる。
上記の手法を用いる際、ポイントは、『何をやっているかは分からないが、何か鳴っている』
という聞こえるか、聞こえない音量で、情報量を稼ぐことプロっぽさのヒント。
フレーズを聞かせるために装飾する。
同じフレーズが繰り返される場合などに、トラックを重ねることで、変化をつけて、飽きさせないよう工夫します。
上記の方法に加えて、ハイハットの刻みを変えたり、ギターのストロークを変えたりなど
演奏そのものを変える方法と組み合わせるとより、効果的かと思います。
装飾するトラックを増やす場合の注意
装飾に関しては、音がバッティングしていないかどうかを考えなければならない。
バッティングしているかどうかは最終的には自分の耳で判断するのだが、次のようなガイドラインが役に立つ。
1. 使用帯域が同じ
2. エンベロープが似ている
3. 音型やリズムが似ている
4. 左右の定位が近い
新しいフレーズを追加して、しっくりこない場合は、以上の項目を気にしてみるといいですね。
まとめ
トラックを増やす以外、演奏自体のアレンジや、本質的な考え方も書いてあって、かなり参考になりました。
曲のアレンジ終盤で、何が足りないのかを考える際に非常に役に立ちそうです。
2、3日おきにつぶやいてます。 Follow @mt_ver02


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