『大人のための音感トレーニング本』、『絶対音感』ではなく『相対音感』と『音程感』が大事な理由

2016/09/21

2016-08-30 15.24.41
自分自身、絶対音感が無いことで、とても悩んだ経験があります。(今も大して無いけど)
 
 
耳の成長限界は一般的に6歳前後と言われていて、絶対音感もその時期までに身につけないと習得は出来ません。
 
 
大人になってから音感を上げる方法は無いのか、ちまたに溢れている音感教育は本当に正しいのか。
 
 
『大人のための音感トレーニグ本』
 
 
頭で整理出来ていなかったことを、想像以上のクオリティーで体系立ててくれた勉強になる本でした。
 
 

1. 絶対音感と相対音感

簡単に言えば、絶対音感 (absolute) hearing) 派は、”どんなキー(調)であっても「ド」の音はドと固定して歌うべきだ”、と主張している一派です。
一方、相対音感 (relative hearing) 派は”ドの音は、そのキーの主音のことだから、キーが変わるごとに、そのキーの主音をドとしてドレミを移動させるべきだ!”と主張しています。”移動ド派"ということになります。
 
一般的に
 
 
調に関わらず、ドを固定して歌う場合は、「固定ド唱法」
調に関わらず、ドを移動して歌う場合は、「移動ド唱法」
 
 
と言います。
 
固定ド唱法システムは、譜面を読むという読譜能力においては、非常に優れたメソッドです。ですから、楽器奏者が読書する場合は、固定ドで会陰層しています。これは、ジャズ/ポピュラー系の楽器奏者でも同じです。
 
 ところが、ボーカル、歌手としった歌を歌う人達となると話は別です。楽器は正しいところを押さえたり弾いたりすれば譜面と同じ音が出せますが、歌手が譜面だけを頼りに楽器の助けなしで歌う、視唱 (sight-singing) の場合は、絶対音感なしに固定ドで歌うことはできません。固定ド唱法は絶対音感能力を前提としたやりかたですから、その能力がなければ意味が無いのです。
 
個人的な見解ですが
 
絶対音感を持ってない人の固定ド唱法 = 移動ド + 移動ド# + 移動レ + ……+ 移動シ(ド〜シまで鍵盤の数は白鍵黒鍵を合計すると12個)
 
をやってる事になると考えてます。
 
つまり、「どんなメロディーでも、調関わらず同じ階名で歌える」移動ドのメリットを活用出来ない上に、覚えるドレミのパターンがことが12倍になってるんです。
 
なので、絶対音感が無い人は移動ド唱法がおすすめです。
 
 
 

2. 固定ド唱法と固定C奏法

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私の教室では、音階をアルファベットで言うことを”固定C"と読んでいて”固定ド”とは区別しています。この方が、楽器奏者にとって便利だからです。”固定ド”だとひとつの音名で、最大5つの違う音を指してしまうからです。(一つの音に#や♭、##や♭♭などの臨時記号を付けた場合です)。
 
移動ド唱法の弱点の一つとして、譜面を見ながらの楽器演奏の場合は、ハ長調以外は読み替えが必要という事が上げられます。
 
なら、楽器を演奏をするときだけ固定ドにすれば良いかというと、耳が混乱してしまいます。
 
なので
 
移動ド唱法を使う時はドレミファソラシドの階名
固定C奏法を使う時はA B C D E F G のアルファベット名
 
と筆者は定義しています。とても合理的です。
 
 

 3. 相対音感と移動ド唱法の便利さ

相対音感 (relative hearing) とは、ある音を頼りに、目的の音を判別する音感のことです。
 
読者の皆さんも、カラオケで歌を歌う際にキーが高いとか低いといった苦情(?)を言った事があるかと思います。キーがかわったからといって、メロディまでかわるわけではありません。曲全体の音の高さが変わっただけですね。
 
ということは、ピアノの鍵盤上の全12音のどの音からドレミファソラティドという音階をスタートさせても、全体のキーの高さが変わるだけで、結局は同じ音階を表している事になります。
キーが変わっても、結局はみんな同じメロディで同じ音階を表しているのではないか?と気づいた人が、移動ド (movable Do) の便利さに気づいて活用したりしています。
視唱に移動ドを用いることができると、簡単にどんなキーでも楽器なしで歌う事ができるようになります。
移動ド唱法というのは結局のところ、全てのキーをCのキー (ハ長調) のように読んで歌ってみよう!という方法論です。
 
個人的には、作曲で思いついたメロディーを簡単に移調して楽器で弾けるのが本当に楽です。
 
 
あと、階名と音楽理論がどの調でも常に一致しているので、音楽理論に習熟している人ほど、移動ドは身につけ易く、応用が利きます。
 
 
大人におすすめ。
 

4. 旧型移動ド唱法から新型移動ド唱法へ

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従来の視唱では、♯や♭がついても読み方は変えずに音の高さだけ変えて歌っています。
日本のほぼ99%の音感教育ではこの方法です。
 
 
ただ、アメリカの音楽大学、バークリーでは黒鍵に名前を杖kて移動ド唱法に応用するメソッドを採用しています。
 
ドレミの言葉の語尾の母音を、♯ なら i : (イ) に、♭ なら e  (エ) に変えます。
 
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これまで相対音感として捉えてきた能力は、絶対音程感の面からもアプローチしていくことでより強化されていきます。
これはどんな修行ごとにもいえますが、本気でこうした能力を身につけたいと願う気持ちが大切です。
そうした気持ちが無い人は、いくら知識を積んでも実戦トレーニングにつながりません。
 
理論を理解して、自分を信じてトレーニングするのが大事。
 
 

5. 絶対”音程"感とは何か

 簡単に言えば、それはある音と別の音との距離 (=音程) をいつでも正確に把握できる能力のこと
それは絶対音感や相対音感とも共存できる能力です。
 
筆者は、絶対”音程”感を絶対音感と相対音感と対比した図で説明しています。こんな感じ
 
 
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階名唱法によるアプローチでは、脳の言語を司る部分が反応するため、音楽を言語を通して理解することになります。
 
 
『ラララ〜』などの言語を介さないスキャットでアプローチすれば、音程に意識がいき、より音楽的なアプローチが可能です。
 
 
また、音程感が鍛えられると、階名唱法の能力も向上するようです。
 
 

まとめ

日本の音楽教育では、絶対音感を前提した固定ド唱法のみが行われています。
 
 
絶対音感を持たない人は、その教育方針に疑問を持たずに従っています。
 
 
ただ、絶対音感を持っている人と持っていない人では、音感の発達原理が根本から異なり、絶対音感を持たない人は、『相対音感』と『絶対音程感』を伸ばすべきで、その効果的なアプローチ方法とトレーニング方法が本書にはまとめてありました。
 
 
音楽をする人なら全員が読んで欲しい、超おすすめの本です。
 
 
 
 
 
 

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